1 過熱水蒸気とは

常圧中で100℃に加熱し発生させた飽和水蒸気をさらに高温加熱した無色透明のH₂Oガス。

2 過熱水蒸気の特徴

蒸気の熱伝導は、「ガス輻射伝熱」+「対流伝熱」+「凝縮伝熱」の複合で行われます。それにより「対流伝熱」+「輻射伝熱」の熱風に比べ、格段に高い熱伝導率を有します。


3 過熱水蒸気の熱伝導

ガス輻射伝熱:壁面間での熱輻射以外に、2物体間にある媒体を電磁波(例:遠赤外線)が通過する際の熱エネルギー放出がガス輻射で、過熱水蒸気式炉内では媒体中に水蒸気(H₂Oガス)が点在するのでガス輻射の効果が空気媒体に比べて非常に大きい。

凝縮伝熱:低温の固体表面に蒸気が当たると一瞬のうちに相転移、凝縮つまり飽和蒸気が飽和水へと変化し、その一瞬に保有潜熱を一気に放出することで対象物を加熱します。

4 過熱水蒸気処理と加熱空気処理の違い

過熱水蒸気処理は、加熱初期から高い伝熱効率を持っています。過熱初期は凝縮伝熱により材料温度が上昇し、過熱水蒸気の温度が高くなるとガス輻射伝熱の速度は上昇します。

5 過熱水蒸気処理の特徴(まとめ)

  • 伝熱速度および乾燥速度が速い
  • 凝縮伝熱とガス放射伝熱の相互作用で凝縮と乾燥が同時に進行
  • 無酸素処理のため油分の酸化はなく無酸素熱分解が可能
  • 無酸素常圧処理のため、発火の危険がなく安全に処理できる
  • 熱伝達および処理速度が速いため、均一的に大量生産が可能となりコストダウンが図れる